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メガネ君がどんどんダメ人間になっていく過程を生暖かく見守るサイト。


by rockaway-beach

トークオブ特撮

 あれだよ、オナニーすべきだよオナニー。メガネ君ですこんばんわ。

 最近、特捜戦隊デカレンジャー見てるんですが、あれですよ、ライダーがなくした子供向けというか、楽しませることに徹底した話のつくりが実にいいです。けっこうハードな展開もあるし、戦隊モノもいいですよ。人によっちゃ最近のライダーは小手先ばっかりリアルにしやがって面白くない、見得もきらない特撮ヒーローなんて邪道だ、とまで言う人もいますからね。

 超星神シリーズとスーパー戦隊シリーズはウルトラマンシリーズやライダーシリーズと違って、基本はエンターティメントに徹することに定評があります。

 ウルトラマンシリーズは周知のとおり、海外SFドラマのミステリーゾーンの影響を大きく受けたウルトラQの後番組として生み出されたため、どこか暗くて見るほうにトラウマを残すストーリー展開も多かったわけです。誤解されている人は多いかもしれませんが、ウルトラQは今で言うX-ファイルのような番組でして、人間の手に負えない超常現象を怪獣として扱った番組なのです。

 そして仮面ライダーはTV特撮のほうこそ勧善懲悪の一話完結型番組としてスタートしたわけですが、原作はトキワ荘出身の石ノ森章太郎です。サイボーグ009や漫画版仮面ライダーを読んでもらえばわかるとおり、えらく暗い作風やらハッピーエンドなんて絶対にありえないやら(ロボコンなどのようなギャグは別として)、後期の手塚先生以上に絶望的な話が多いです。また、一時はデザイン以外で話にほとんどかかわらなかった石ノ森先生が仮面ライダーBlackで原作を担当したこともあり、それ以後の仮面ライダーはどちらかといえば「石ノ森色」を強く帯びることになります。

 この二者は日本を代表する特撮番組ですが、日本にはもう一つの代表的な特撮シリーズがあります。

 それはスーパー戦隊シリーズ。これもやはり石ノ森章太郎原作の秘密戦隊ゴレンジャーから始まりました。翌年のジャッカー電撃隊もやはり石ノ森先生が原作でしたが、視聴率の低迷により一時シリーズとしては打ち切られることになります。

 しばらくしてスパイダーマン(東映版)の後をうけて放送されたのが、石ノ森章太郎先生が全くかかわっていない、戦え!バトルフィーバーJです。厳密に言うなら、スーパー戦隊シリーズはこの戦え!バトルフィーバーJが第一作となります。スパイダーマン(東映版)で好評を得た巨大ロボットを登場させることにより、スーパー戦隊シリーズは一気に人気特撮番組になりました。

 これによって、「石ノ森色」がなくなったことがスーパー戦隊シリーズが他の特撮番組と未だに一線を隔す部分だと思います。

 前述したとおり、石ノ森章太郎先生の作風は少々シリアスすぎるきらいがあります。彼の作品の基本軸は「主人公の自己犠牲により世界を救う」であり、「主人公は人ではなく“異形”である」なのです。何らかの理由で人でなくなったり、最初から機械として生まれたりなどの程度の差はあれど、彼のヒーロー造型の基本はこの二つです。

 よって主人公達は異形であるという宿命により、なんらかのネガティブな要素を背負い込むことになります。復讐だとか人殺しの前科だとか。俺のような石ノ森ヒーロー大好きな人間にはそれでいいのですが、まあ正直な話、万人受けするヒーロー像ではありません。

 対してウルトラマンは超人です。人間を超えた高次元の存在なので、まあ基本的に彼ら個人には余りネガティブな要素はありません。

 しかし、ウルトラマンの世界は仮面ライダーの世界よりもリアリスティックです。超人であるウルトラマンの力をもってしても事態を終結させることができなかったり、逆に火に油を注いでしまったりもします。怪獣は仮面ライダーの怪人たちとちがって、人々に害をなすだけの絶対悪ではありません。ウルトラマンの世界にいる怪獣は、人に害をなすからといって、それだけで殺していい相手ではないのです。「お茶の間に毎週ゴジラを」がコンセプトで始まったが故に、ウルトラマンは勧善懲悪ではなくなってしまったのです。

 したがって仮面ライダーの怪人は幹部怪人以外は余り誰にも覚えてもらえないことが多いのですが、ウルトラマンの怪獣はその個性ゆえにほとんど覚えている人も多いのです。シオマネキングやゲバコンドルを知らない人は多くても、シーボーズやドドンゴならなんとなく分かるという人は多いはずです。

 この二つがどんどん難しく、ネガティブな方向に向かっていく最中でも(え、タロウ? スーパー1? ……ライダーはBlack以降の話だから関係ないな)、スーパー戦隊シリーズはかたくなに勧善懲悪というスタンスを守り続けてきました(え、ジェットマン? ……忘れろ)。

 こんなふうですので、スーパー戦隊シリーズは古くからの伝統を守りつつも毎年進化を続けています。シリアスすぎることもなく、肩肘張ることもなく毎週アクションを楽しむことができるのはスーパー戦隊シリーズの最大の長所です。

 だからスーパー戦隊シリーズなんてガキっぽいとかぬかす奴は、真・仮面ライダーの第一章を死ぬまで待ち続ければいいと思います。俺も待つけどな。
by rockaway-beach | 2006-08-30 20:43 | 日記